絵巻物が語る鎌倉時代。4館を巡るいにしえの旅。「一遍聖絵」|クロードクル

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2015年11月16日
絵巻物が語る鎌倉時代。4館を巡るいにしえの旅。「一遍聖絵」

2015年10月10日(土)より遊行寺宝物館で開催されている「国宝 一遍聖絵」は、日本の絵画形式の一つである絵巻物で、画絹に描かれたものとしては最古のものであるといわれている大変貴重なもの。11月20日(金)より遊行寺宝物館で後期の展示が始まります。

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まるでタイムトリップ

すでに10月10日(土)より遊行寺宝物館で開催されている展示。11月20日から後期の展示が開催されます。

後期の展覧会の見どころは、なんといっても神奈川県の3展示場(遊行寺宝物館・神奈川県立歴史博物館・金沢文庫)と東京国立博物館で開催され、合わせて全12巻(全巻ではありません)を各館が趣向を凝らして展示をするということです。

この12巻には、鎌倉時代の風景や人物、建物や四季などが折々に展開され、その描写を眺めていると、まるで鎌倉時代にタイムトリップしたかのような感覚を楽しむことができるはずです。
すでに遊行寺宝物館へ行かれた方も、後期の展示は新たに期待が高まることでしょう。ぜひ再び、足をお運びください。
遊行寺入場券
「一遍聖絵 遊行寺宝物館」入場券

名所づくしの一遍聖絵。まずは善光寺から・・・

「一遍聖絵」を辿っていく。それなら、まずは遊行寺宝物館からがお勧めです。

一遍上人と言えば時宗の開祖。伊予の武士の家に生まれ育ちます。十歳の頃に母親が亡くなり、父の言いつけに従い出家し、修行に励んだことなど、物語でいうならはじまりの部分が、詞書(ことばがき)によって記されており、第1巻を観ることによって、一遍上人の遊行の原点を知ることができるのです。どんな遊行をしていくのか、ワクワクしますね。

また、世俗に交わって子どもたちとたわむれて遊んでいるときに「生死の道理を思い知った」というくだりが詞書にありますが、「遊んでいるときに生死の道理を思い知る」ってすごい!と驚かされたり、「聖(世を捨てた人)と鹿は、人里に長くいると災難に遭う。」ということわざ通りの事件があったと記されていたりして、どうしてそう思ったの?何があったの?と興味津々になるのです。一遍上人の遊行を観ていくことに期待で胸が膨らみますよ。

そして、「一遍聖絵」には名所が多く描かれていますが、第1巻には当時の善光寺の全景が描かれている場面もあるのです。
鎌倉時代の善光寺とその周りの様子をぜひご覧ください。もし善光寺を訪れたことのある方でしたら、その趣の違いを楽しむことができます。訪れたことがない方は、絵巻をご覧になる前に現在の善光寺の様子をお調べになり、観ておかれるとその違いがはっきりすると思います。けれど、はっきりしない方が鎌倉時代をそのまま想像できるかもしれません。どれも楽しみ方のひとつです。

ところで、一遍上人が善光寺を訪れたときに感得したと記されている「二河白道図」があわせて展示されているのですが、この図は、此岸に釈迦と中国・唐時代の善導が描かれているもので重要文化財にもなっている大変素晴らしい作品です。
このように絵巻のみだけではなく、ゆかりのある作品があわせて展示されるので「一遍聖絵」の理解が一層深まります。

始まりと終わりがここに・・・

遊行寺宝物館が11月20日(金)から展示するのは、第1、7、11、12巻。
そうです、始まりと終わりの巻がこちらに展示されます。
12巻は3段ありますが、どの場面も絵を観るだけでも圧巻されます。弟子たちの様子などをぜひ細かにご覧ください。そしてぜひ詞書をじっくりと。その詞の数々は情緒に溢れ、表現の美しさにハッとさせられることでしょう。情景というものは、絵でも詞でも表現できるということを実感しました。

遊行寺宝物館を出発点として、他の館でそれぞれの特徴ある展示を観られたら、ぜひもう一度遊行寺宝物館へ足を運んでみませんか?それまでに観てきた各地のいにしえの旅。終わりは始まりを再び目にすることでさらに心に強く印象つけられるのではないでしょうか。

遊行寺宝物館は、これだけの宝物を展示する会場としては、大きく目立つ建物ではありません。しかし、山門からまっすぐの道、大きな銀杏の木、そして一遍上人の像と私たちを迎えてくれるそれらは、まさに東海道の名刹です。
そして、皆さん。今回は特に図録をよく読まれることをおすすめします。絵巻のお話も読み応えがありますが、日本語の美しさにもハッとさせられます。
(参考:「国宝 一遍聖絵 図録」図録は¥2,000円 各館で販売されています)
遊行寺山門
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遊行寺宝物館会場 (後期)
会期:2015年11月20日(土)~12月14日(月)
※休館日 毎週火・水・木曜日(祝日は除く)
開館時間:午前10時~午後5時(入館は16:30まで)
観覧料: 一般 800円(500円)小・中学生400円(320円)小学生未満は無料
※()内は20名以上の団体料金

著者:のりこ

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小学校教員歴14年。その後は非常勤としても勤務。職員間の微妙な人間関係や母親の人間関係から学んだストレスのない生き方の提案ができます。
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