【メカニックデザイナー大河原邦男展】伝説のメカが大集結!|クロードクル

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2015年9月30日
【メカニックデザイナー大河原邦男展】伝説のメカが大集結!

大河原邦男氏は、アニメーションの世界において日本で初めて「メカニックデザイナー」として紹介された伝説の巨匠です。大河原氏の活動の歴史とともにロボットアニメの歴史を辿り、メカニックデザインの未来に思いを馳せてみましょう。

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大河原邦男氏にスポットを当てたロボットアニメの歴史

『科学忍者隊ガッチャマン』『機動戦士ガンダム』『装甲騎兵ボトムズ』・・・子どもの頃に憧れたロボットたちの姿が展示室の壁一面に並んでいます。これらのロボットたちを描いたのは一人のデザイナーです。そのことに私は改めて驚かされ、感嘆の溜息を漏らしました。

上野の森美術館では、2015年8月8日から9月27日まで「メカニックデザイナー大河原邦男展」が開催中です。4章構成の展覧会は、大河原邦男氏にスポットを当てた展示内容となっています。
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日本初のメカニックデザイナー・大河原邦男氏の経歴

大河原氏は、1972年に『科学忍者隊ガッチャマン』の敵メカなどのデザインを担当して評価されたのをきっかけに、数々のメカニックデザインを手掛けていきます。

『機動戦士ガンダム』ではモビルスーツのデザインを担当。作品の人気とともに知名度が上がりました。同時に、日本初の「メカニックデザイナー」しても世間に認知されるようになりました。

現在も大河原氏はアニメの第一線で活躍しながら、メーカーや地方公共団体ともコラボして活動の幅を広げています。

大河原邦男氏の活動を支える「知性」「画力」「引き出し」

「メカニックデザイナー大河原邦男展」入り口の紹介文では、「知性」「画力」「引き出し」の3つをバランスよく兼ね備えているところに大河原氏の魅力がある、と書かれていました。本記事では、「知性」「画力」「引き出し」の3つの観点から「メカニックデザイナー大河原邦男展」を概観してみます。

作品を隅々まで理解する「知性」

大河原氏のデザインで目を引くのは、細部まで描きこまれた緻密さです。ロボットや戦闘機などの見取り図では、前方や後方から見た全体像だけでなく、頭部や腕、脚、プロペラといったパーツごとの図も丁寧に描かれます。特に、コイルや配線の一つ一つがもれなく描かれたエンジンの図には思わず見入ってしまいます。

『ゴワッパー5 ゴーダム』では、ロボットの内部がどうなっているのかが図解されました。また、『無敵ロボ トライダーG7』では、パイロットがロボットに乗るまでの段取りなどが細かく描かれました。

これらの作品は低年齢の子ども向けアニメです。しかし、大河原氏は、表面的な部分だけでなく、ロボットの内部や設定までを詳細に描き込みました。大河原氏の丁寧な仕事があったからこそ、子どもたちはアニメに熱狂できたのでしょう。

大河原氏の描いた設定資料を眺めていると、懐かしいアニメの舞台裏が見えてきてワクワクします。子どもの頃は、テレビ画面で動いているロボットを見ながら、「あのロボットの中はどういう仕組みになってるんだろう?」と考えていました。当時の疑問に対する答えが展覧会にはありました。大河原氏の「知性」が描き出す世界観は、鑑賞者の「知性」に訴えかけてきます。
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世界観に準じたメカニックを描く「画力」

大河原氏の描くロボットには、リアルなものもコミカルなものもあります。大河原氏は、作品の世界観に合わせて、無個性な存在と思われがちなロボットに個性を持たせて描き分けます。

『機動戦士ガンダム』のヒット後、大河原氏はロボットを戦争の兵器として解釈しました。『太陽の牙ダグラム』では、ロボットデザインのミリタリーテイストを強め、当時の模型市場のニーズに応えました。

『勇者シリーズ』第1作の『勇者エクスカイザー』では、スポンサーであるタカラのギミック案を基に、大河原氏は「ヒーローロボット」のスタイルを確立しました。乗り物から巨大ロボットへと変形するロボットたちの「かっこよさ」を追求し、子どもたちの心に新たなヒーロー像を刻み込みました。

一方で、コミカルなタッチのデザインも大河原氏の十八番です。『タイムボカンシリーズ ヤッターマン』では、ギャグテイストの「ビックリドッキリメカ」を大河原氏は描きました。このデザインは、2008年から2009年にテレビ放送されたリメイクアニメ『ヤッターマン』にも受け継がれ、パロディ路線に拍車がかかります。

また、『からくり剣豪伝ムサシロード』において、大河原氏は、歴史上の剣豪たちをモチーフにした「からくり人」を描きました。これがコミカルメカニックの先駆的作品となりました。

ミリタリーやヒーロー、コミカルなど、大河原氏はさまざまなデザインを考案し世に送り出しています。それらがロボットアニメの流れを変えていくことも少なくありませんでした。同時に、アニメを見る私たちの意識も変えてきたのです。
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仕事の発注に対して迅速に対応する「引き出し」

大河原氏の多彩なデザインの背後には、プロとしての知見と技術に裏打ちされた「引き出し」の多さがあります。

大河原氏は、自らの美的感覚に固執することなく、発注元の要望に的確に応えてきました。それを物語るのが『機動戦士ガンダムF91』の設定資料でした。大河原氏が「ここは一等地だからエンブレムでも飾っちゃうというのはどうですか?」などと提案したり、一方で富野由悠季監督が「(頭は)このくらいのボリュームで」などと修正指示を出していたりと、一つのデザインが完成するまでのやりとりを見られる貴重な展示です。

大河原氏の柔軟さは、玩具メーカーや模型メーカーとのタイアップの場面でも遺憾なく発揮されます。『無敵鋼人ダイターン3』では、ロボット変形を詳細に描いたことでおもちゃ化に成功しました。また、『装甲騎兵ボトムズ』では、鉄の感触の頂点を極めると同時に、立体化を前提としたデザインを提供しました。

大河原氏のメカニックデザインは、今やロボットアニメのスタンダードです。しかし、そこに満足しない大河原氏は、発注元や視聴者の期待に常に応え続けようとします。『機動戦士ガンダムSEED』では、翼が展開するギミックや四足歩行のモビルスーツという新たなコンセプトを提示してファンをうならせました。

大河原氏の「引き出し」からは、次にどんなギミックが飛び出すのでしょうか?そんな期待を抱かせる展覧会でした。
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熱い思いを語りたくなる「メカニックデザイナー大河原邦男展」

私が「メカニックデザイナー大河原邦男展」を訪れたのは平日の昼でした。それにもかかわらず、会場はたくさんの来場者でにぎわっていました。

来場者の多くは単身の男性でしたが、熱心に展示を見ている女性の姿もありました。また、男友達同士や夫婦などの2人組だと、展示を鑑賞する際に饒舌になるようです。
「『太陽の牙ダグラム』は、子ども目線で見てはダメ!大人になってから見なきゃ!」と友人に語る男性が印象的でした。

「メカニックデザイナー大河原邦男展」は文字情報が少なめな展覧会です。そのことが、却って鑑賞者に自分の言葉を紡ぐきっかけを与えるのでしょう。子ども時代にロボットアニメを見て育った世代が、大河原氏のデザインと再会して、懐かしさを伴う熱い思いを語りたくなるのではないでしょうか?

大河原氏の40年以上にわたる活動の歴史はロボットアニメの歴史そのものです。ロボットやメカニックに興味があるなら絶対に見逃せない、子どもから大人まで楽しめる展覧会です。

メカニックデザイナー大河原邦男展
http://www.okawara-ten.com/
http://www.ueno-mori.org/exhibitions/article.cgi?id=128
●会期:2015年8月8日 (土) 〜 9月27日 (日)
●会場:上野の森美術館
110-0007 東京都台東区上野公園 1-2
http://www.ueno-mori.org/
●開館時間:10 : 00~17 : 00(入場は閉館30分前まで)
●休館日:
●入場料:一般1500円、大高生1200円、中小生500円
●アクセス:
JR・上野駅
東京メトロ・京成電鉄・上野駅

著者:みみずく

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平日の夜は、家庭教師として小学生から高校生まで幅広く指導しています。国語・数学・英語などの主要科目だけでなく、面接・作文・小論文なども教えます。各科目の勉強法や指導テクニック、受験に関するあれこれなど、教育に関する情報を家庭教師ブログに掲載しています。「両国 家庭教師」で検索してみてください。
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