【プラド美術館展―スペイン宮廷 美への情熱】ヨーロッパ絵画史の巨匠が集う美の宝庫|クロードクル

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2015年11月19日
【プラド美術館展―スペイン宮廷 美への情熱】ヨーロッパ絵画史の巨匠が集う美の宝庫

1819年に王立美術館として開館したプラド美術館。歴代スペイン王たちのこだわりが感じられるコレクションが最大の魅力です。今回は小さな作品にこだわり102点が展示されています。

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時代ごとに7つのブースに分かれた展示空間

開館5周年を迎えた三菱一号館美術館を記念して開催されているプラド美術館展。今回の展示は時代ごとに7つのブースに分けられて展示されています。

1.中世後期と初期ルネサンスにおける宗教と日常生活
2.マニエリスムの世紀:イタリアとスペイン
3.バロック:初期と最盛期
4.17世紀の主題:現実の生活と詩情
5.18世紀ヨーロッパの宮廷の雅
6.ゴヤ
7.19世紀:親密なまなざし、私的な領域

時代の流れによって歴代スペイン王たちの嗜好の変化が分かり、とても興味深く観賞することができる空間となっています。

初来日!ヒエロニムス・ボス「愚者の石の除去」

愚者の石の除去
ヒエロニムス・ボス《愚者の石の除去》1500-10年頃 油彩・板 48.5×34.5cm プラド美術館蔵
(c)Archivo Fotográfico, Museo Nacional del Prado. Madrid.

最初のブースに入ると、本展覧会最大の目玉であるヒエロニムス・ボスの作品が目に飛び込んできます。
現存する真筆の数が20点といわれているボスの貴重な作品です。
本作品は錬金術「賢者の石」をパロディ化したもので、思わずぷっと吹き出してしまう絵です。
「頭に石がある人は頭がおかしい」とのオランダの古いことわざどおり、石を取り除く手術を受けている男性を執刀しているのは、じょうごを逆さにかぶった偽医者。
そのまわりには、同じように彼を騙している司祭や女性が描かれています。
しかしこの絵はユーモラスなだけではありません。じっくり眺めていると、人物の背景に描かれている遠方の風景や草の生え方まで、とても細かく描写されていることが分かります。その繊細さにため息がもれてしまいます。

一点を見つめる聖母マリアのまなざしにくぎ付け「ロザリオの聖母」

ロザリオの聖母
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ《ロザリオの聖母》1650-55年 油彩・カンヴァス 166×112cm プラド美術館蔵
(c)Archivo Fotográfico, Museo Nacional del Prado. Madrid.

3つ目のブース「バロック:初期と最盛期」に足を踏み入れると、視界がパッと広がります。本展覧会で一番広いスペースとなっています。
多くの作品が展示されている中、強くひきつけられるのが、バルトロメ・エステバン・ムリーリョ作「ロザリオの聖母」です。
鮮やかな深紅のドレスを身にまとい、一点をじっと見つめる聖母マリアのまなざしに引き込まれていきます。目鼻立ちがはっきりと描いているため、その一点を見つめる目がことさら印象深く感じます。

三菱一号館美術館 高橋明也館長いち押し「ローマ、ヴィラ・メディチの庭園」

ローマ、ヴィラ・メディチの庭園
ディエゴ・ベラスケス 《ローマ、ヴィラ・メディチの庭園》1629-30年 油彩・カンヴァス 48.5×43cm プラド美術館蔵
(c)Archivo Fotográfico, Museo Nacional del Prado. Madrid.

ベラスケスがフィレンチェの名門メディチ家のローマの別荘に2カ月滞在したときに描かれた作品で、本展覧会の音声ガイドでは高橋館長が「絶対に見逃さないでください」と薦めているものです。
この時代は風景だけを描くということがあまりなく、そういう意味で珍しい作品と言われています。
この絵は午後の遅い時間の風景を描いたとのことで、空の色使いでそれとわかります。ベラスケスの高い技術を垣間見る作品かもしれません。

一番美しい時期の王妃を描いた「マリア・ルイサ・デ・パルマ」

マリア・ルイサ・デ・パルマ
アントン・ラファエル・メングス《マリア・ルイサ・デ・パルマ》 1765年  油彩・カンヴァス 48×38cm プラド美術館蔵
(c)Archivo Fotográfico, Museo Nacional del Prado. Madrid.

本展覧会のポスターに取り上げられているこの作品を目当てに来場される人も多いことでしょう。
その愛らしい微笑みは心をほっこりさせます。
しかしこの絵に描かれているスペイン国王カルロス4世に嫁いだマリア・ルイサは、歴史上決して評判の良い王妃ではありませんでした。
14回もの出産でその容貌は著しく劣化していったとさえいわれています。
しかし13歳9カ月でカルロス4世に嫁いだ直後に描かれたこの絵を見ることで「若いころの王妃はとても魅力的だった」という説に思わずうなずいてしまうでしょう。

遠い極東の地日本に思いを馳せた夭折の画家「日本式広間にいる画家の子供たち」

日本式広間にいる画家の子供たち
マリアノ・フォルトウーニ・イ・マルサル《日本式広間にいる画家の子供たち》1874年 油彩・カンヴァス44×93cm プラド美術館蔵
(c)Archivo Fotográfico, Museo Nacional del Prado. Madrid.

19世紀に活躍した画家マリアノ・フォルトゥーニ・イ・マルサルは、従軍画家としてモロッコに滞在したことをきっかけに、アラブ世界に興味を持つようになります。
異国の情景を描いた作品を多く手がけ、日本にも興味を持っていたと言われています。
本作品を完成させることなく36歳という若さで亡くなってしまいましたが、未完成でありながらも本作品は高く評価され、マリアノ・フォルトゥーニ・イ・マルサルの代表作とされています。

ここでは紹介しきれないぐらい魅力ある作品にふれられるプラド美術館展。スペイン宮廷の歴史に身をゆだね、時間に余裕をもってじっくり見て回ることをおすすめします。

プラド美術館展―スペイン宮廷美への情熱
http://mimt.jp/prado
●会期:2015年10月10日(土)~2016年1月31日(日)
●会場:三菱一号館美術館
東京都千代田区丸の内2-6-2
http://mimt.jp
●開館時間:10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)
金曜日および会期最終週は20:00まで
●休館日:毎週月曜日(但し、祝日の場合、12月28日、1月25日は開館)
年末年始休館:12月31日、1月1日
●アクセス:
JR「東京」駅(丸の内南口)徒歩5分
JR「有楽町」駅(国際フォーラム口)徒歩6分
東京メトロ千代田線「二重橋」駅(1番出口)徒歩3分
東京メトロ有楽町線「有楽町」駅(D3/D5出口)徒歩6分
都営三田線「日比谷」駅(B7d出口)徒歩3分
東京メトロ丸ノ内線「東京」駅(地下道直結)徒歩6分
   

著者:吉永麻桔

WEBライター
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「思い立ったが吉日」を座右の銘に動きまわるフットワークが自慢です。自分の見たもの聞いたもの、興味のおもむくまま記事を書きます。