【特別展「始皇帝と大兵馬俑」】ポージングする兵士たち。さすがトーハク!|クロードクル

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2015年11月9日
【特別展「始皇帝と大兵馬俑」】ポージングする兵士たち。さすがトーハク!

兵馬俑は、ほとんどが露出展示なので、360度くるくる回って兵馬俑を間近に見ることができます。アリガトー、トーハク。

美術ライター
  
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始皇帝と秦、ちょっと予習しておくとよいかも

秋の大型展覧会、特別展『始皇帝と大兵馬俑』。これは話題になりそう!とはいえ、中国の歴史や文化になじみのない方もいるでしょう・・・。ならば、ここは軽く予習といきましょう。

まず大前提のおさらい、始皇帝って誰だっけ?
紀元前259年に生まれ、紀元前221年にはじめて中国大陸統一を果たした人です。
「皇帝」という称号を始めて使ったとされているので、「始皇帝」。
万里の長城を建設したことは有名です。
前漢時代の歴史書「史記」には波乱にみちたその生涯は詳しく記されているものの、謎も多いのだとか。
兵馬俑のことも在位中に制作されていたのに「史記」には一切出てきません。
皇后の名も明らかになっていないというミステリアスな存在に探究心がかきたてられます。
②広報用画像5_始皇帝の肖像
始皇帝の肖像(※参考図版)
(c)陝西省文物局・陝西省文物交流中心・秦始皇帝陵博物院

そんな始皇帝がおさめたのが「秦」という国。
春秋時代、現在の中国甘粛省南部にあった小国がたくみに周辺国をとりこんで巨大帝国となっていったのです。
と、ムズカシイ予習はここまで。

まさに異文化交流。秦は憧れの国、ライバル国の文化だってとりいれます

展覧会はまず、秦がどのように周辺国を攻略していったかを出土品などから読み解いています。
土足でズカズカというのはやっぱりダメ。中国では文物を受け継ぐことが名誉なのですから。
秦も、かつて天下に君臨した国・西周を受け継いでいることをアピールするかのように、西周の王侯が身に付けた玉(ぎょく)のアクセサリーや青銅器を自国の文化にとりいれていったのです。

そして、ライバル国の北方民族の文化だってうまくとりこみます。
匈奴など草原の民はなんといっても金、財産は持ち歩くのが安心。
そんな影響が伺えるとともに、会場で光り輝いていたのがコレです。
③広報用画像2_玉剣と金剣鞘 玉剣・金剣鞘
韓城市梁帯村古墓葬群文物保護管理所蔵
(c)陝西省文物局・陝西省文物交流中心

前8~7世紀にこの金の透かし彫りの技術はすばらしいです。
これと同じ形で青銅製の短剣と金の器が秦や北方草原のお墓などで出土しているそうで、まさに当時の異文化交流を物語る品といえます。
ここまでが1章「秦王朝の軌跡―周辺の小国から巨大帝国へ」でした。

一見地味に思える展示物にも皇帝パワーは宿る

そして2章は「始皇帝の実像―発掘された帝都と陵園」

いよいよ、前221年に始皇帝は天下統一。
咸陽にあった宮殿から出土した大きな水道管からは秦の高度なインフラ整備の様子もわかります。
他にも度量衡や貨幣の統一に欠かせない重りや量りなど、一見すると地味な展示物が並びます。
が、よく目をこらしてみると、その青銅製の重りに始皇帝や二世皇帝の詔が刻まれているなど、国のすみずみまで始皇帝パワーがいきわたっていたことを感じます。

やっと最強軍団に会えた!

そして3章は「始皇帝が夢見た“永遠の世界”―兵馬俑と銅車馬」。
始皇帝が生前作らせた自らの墓の周囲に納めた多数の兵馬俑。
1974年の発見以降、今も発掘調査は続いています。
真っ白な展示室に現れたのは銅車馬。実際に始皇帝が乗ったと考えられる馬車を青銅製で再現した模型の複製品です。大きさは実際の馬車の半分ほど。50歳で亡くなった始皇帝が金銀の金具をつけたこのような豪華な馬車で、中国の広い大地を駆け抜けていったのかなどと想像が膨らみます。
④広報用画像6a_1号銅車馬(複製)1号のみ
1号銅車馬(展示は複製)
⑤広報用画像7_2号銅車馬(複製)
2号銅車馬(展示は複製)
2点ともに秦始皇帝陵博物院所蔵
陝西省文物局・陝西省文物交流中心・秦始皇帝陵博物院

そしていよいよ最後の展示室。兵馬俑の登場です。
兵士たちが居並ぶエリアまでは緩いスロープがあり、登りきると高い位置から軍団を見下ろすことができます。ポージングする兵士たちの光景はなぜかちょっと見本市みたい。
でもこれまで私が見たことのある兵馬俑は2体くらいがちょっと置かれていただけの展覧会だったので、さすがトーハク!というべきスケールに感動です。

威厳たっぷりの将軍俑。でも鎧にはリボンのような飾りが前後についていて、なかなかオシャレ。
弓の部隊の兵士は遠くを見据えた目が鋭い!
⑥広報用画像9_将軍俑
将軍俑
⑦広報用画像10_立射俑
立射俑
いずれも秦始皇帝陵博物院所蔵
(c)陝西省文物局・陝西省文物交流中心・秦始皇帝陵博物院

ほとんどが露出展示なので、360度くるくる回って兵馬俑を間近に見ることができます。アリガトー、トーハク。
身分や役割もよくわかり、リアル表情から人形なのに性格まで想像してしまいました。
当初は彩色もされていた兵馬俑はバラバラになって発掘され、それらをつないで現在の姿に復元したという事実にも改めて驚きます。
こんな最強軍団に守られた始皇帝は今も地下墳墓に眠っているんですよね。もっと保存技術が向上したら、いつかその扉を開ける日も来るのか・・・とちょっとワクワクしながら観覧を終えました。

さて、出口付近にはレプリカたちと記念撮影コーナーもあります。展覧会公式サイト(http://heibayou.jp/)で「みんなで兵馬俑」の特別企画もあり、投稿された写真の一部が公式サイトでも見られるそうです。“8000 体あるという兵馬俑にちなんで、みんなの写真で、8000 人をめざしているとか・・・。
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特別展「始皇帝と大兵馬俑」
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1732
●会期 : 2015 年10 月27 日(火)~2016 年2 月21 日(日)
●会場 : 東京国立博物館 平成館
●開館時間 : 午前9 時30 分~午後5 時
※12 月18 日までの金曜日は午後8 時閉館
※入館はいずれも閉館30 分前まで
●休 館 日 : 月曜日及び年末年始(12 月24 日<木>~2016 年1 月1 日<金・祝>) ※ただし11 月23 日〈月・祝〉、1 月11 日〈月・祝〉は開館し、11 月24 日〈火〉、1 月12 日〈火〉は休館
●観覧料金 :一 般1600 円 大学生1,200 円 高校生900 円
●展覧会に関する一般お問い合わせ :
○公式サイト http://heibayou.jp/
○ハローダイヤル 03-5777-8600

著者:河津寿美子

美術ライター
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