【竹久夢二とアール・ヌーヴォー】今なお売れ続ける、夢二作品の魅力|クロードクル

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2015年11月11日
【竹久夢二とアール・ヌーヴォー】今なお売れ続ける、夢二作品の魅力

その生き方も含めて、今なお根強い人気の竹久夢二作品。 竹久夢二とアールヌーヴォーの歴史を掘り下げる企画展をご紹介します。

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夢二とアール・ヌーヴォー

東京都文京区に位置する竹久夢二美術館にて、2015年10月1日より『竹久夢二とアール・ヌーヴォー ~明治・大正の日常を彩った図案と装飾~』が開催されている。
竹久夢二美術館は平成2年(1990年)11月3日の開館。今年2015年で25周年を迎えた。

お孫さんのトークショーから見る、夢二の一面

記念の日を祝して、11月3日には竹久夢二のお孫さんである竹久みなみさんを迎えてのトークショーも行われた。
「私は夢二の孫だけど、単なるおばあちゃんだから」とはにかむ彼女から、夢二にまつわる様々な人々の逸話を学芸員の石川さんが優しく引き出す。
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夢二は、その退廃的で恋多き情熱的な生き方も含めて、今もなお根強いファンがいる魅力的な画家である。
今回は、みなみさんと石川さんのトークのおかげで、お孫さんが生まれて周囲から「パパじい」等と呼ばれた夢二の意外な一面を垣間見る事ができた。

アール・ヌーヴォーと、夢二の女性像

今回の企画展のテーマであるアール・ヌーヴォーとは、19世紀末から20世紀初頭にヨーロッパを中心に流行した一大美術ムーブメントだ。
花や植物をモチーフにした曲線装飾が多数創出されたことはもちろん、鉄やガラスなどの新しい素材が使われていることも特徴である。
また、エミール・ガレの家具やドーム兄弟のガラス工芸などもアール・ヌーヴォーを代表する作品である。

退廃と、機能性。
美と実用。
鋭角とまろみ。
一見相反する素材同士で錬成された結果の化合物、と言うのが私が持つアール・ヌーヴォーのイメージである。

夢二とアール・ヌーヴォー?

だから、当初は展覧会のテーマにクエスチョンが浮かんだ。しかし、今回の展示内容を見てむしろ、夢二ほどアール・ヌーヴォーと言う言葉が相応しい日本の画家はいないのではないだろうか、と言う考え方に変わった。

夢二が活躍し始めた20代の時期に、アール・ヌーヴォーの波が日本にやってきた。
アール・ヌーヴォーの代表的な芸術家であるミュシャのポスターに描かれている女性や、ビアズリーのサロメには、そこはかとなく死や退廃のイメージがつきまとう。
あえて言うまでもないが、夢二の描く女性像もやはり、儚くあえかな、かよわく薄明な印象を覚えるものが多いのである。
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偉大なる商業美術家

夢二と言えば、美人画ともう一つ双璧をなすのが少女雑誌の挿絵や抒情画である。

夢二が好んで挿絵等の構図の参考にした美術雑誌に、ドイツの『ユーゲント』がある。
今回の展示方法は参考元である『ユーゲント』に掲載されたイラストと、夢二画を対比する形式で展示されているため、とても分かりやすい。
夢二自身が気に入ったのであろうか、1つの参考図から何点もイラストが描かれているものもあった。
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儚い美人画やスケッチ、可愛いイラスト、小鳥や植物をモチーフにしたデザイン画や小品まで展示はバリエーションに富んでいる。
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その昔、少女達は夢二の生み出す作品達を熱狂して集めていた。
その少女達の姿は、展覧会場のあちこちで見かけた大正浪漫の香りがする色とりどりの着物を羽織り、ポスターの横で写真を撮り合いながら夢二の作品に見入る若い女性達と重なった。
夢二の他に、展覧会にこんな来訪のされ方をする画家がいるだろうか!
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夢二自身は商業美術家であることにどこか引け目を感じ、中央画壇に対して忸怩たる思いもあったかもしれない。
実際に、当時の画壇に属する大人達にとって、商業美術家の地位は低かったのかもしれない。
皮肉なことに、夢二作品を購入し、人気を支えた少女達の夢二への「熱の入れ方」こそが、権威ある大人達からすると眉をひそめる対象になったのかもしれない。

しかし芸術への評価のあり方が、多くの人を魅了し惹きつけた度合いだとしたら、夢二は当時の中央画壇のどんな偉大な画家にも負けない。
少女達は大人の評価も良俗も関係なく、ただただ美しい物を欲し、買って、眺めて愛している。
現代でも夢二画がプリントされた絵葉書や画集、手ぬぐいや風呂敷、レターセットやしおりは誰もが購入することができる。

利のない商業は、成り立たない。
今もってなお多くの人に愛されているからこそ、時代を超えたデザイン性の高さがあるからこそ、売れる。
売れるから、夢二の作品は商品化する価値があるのだ。

商業と芸術の連携がアール・ヌーヴォーの大きな特性だとしたら、夢二こそが日本代表のアール・ヌーヴォーアーティストと言える証拠ではないか。

『竹久夢二とアール・ヌーヴォー ~明治・大正の日常を彩った図案と装飾~』は、2015年12月25日(金)まで開催されている。
ぜひ、スタイリッシュな夢二の作品さながらに、とびっきり気取ってオシャレをして足を運んでほしい展覧会である。

竹久夢二とアール・ヌーヴォー ~明治・大正の日常を彩った図案と装飾~
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/yumeji/exhibition/now.html
●会期:2015年10月1日(木)~12月25日(金)
●会場:竹久夢二美術館
〒113-0032東京都文京区弥生2-4-2
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/yumeji/outline.html
●開館時間:午前10時~午後5時(入場は閉館の30分前まで)
●休館日:月曜日(ただし祝日の場合は翌火曜)
●アクセス:
■電車
・地下鉄千代田線「根津駅」1番出口より徒歩7分
・地下鉄南北線「東大前駅」1番出口より徒歩7分
・JR「上野駅」公園口より徒歩25分
■バス
・都営バス(学01)「上野駅前―東大構内」で、終点「東大構内」下車徒歩2分
・都営バス(学07)「御茶の水駅―東大構内」で、終点「東大構内」下車徒歩2分
・都営バス(上60)「上野公園―大塚駅(池袋駅東口)」で、「弥生2丁目」下車徒歩3分
・都営バス(上58)「上野松坂屋―早稲田リーガロイヤルホテル」で、「根津駅」下車徒歩7分
※駐車場はありません。

著者:みごろう

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五感にしたがい、美しい事柄や美味しい物で心を満たしていきたいと思いながら、ドラゴンワールドで日々見えない何かと戦っています。